エベレスト3Dを見て | あの時のことだったと知る


エベレスト3Dという映画をアマゾンビデオで見てしまいました。イマサラですが感想書きます。
昨年(2015年)公開の映画でして、お客さんなどからタイトルは聞いていたのですが、まさか私が登ってたあの日のできごとの映画だったとは・・・


GW明け、しばらくガイドのお仕事もお休みしていて、自宅でのんびり家具などを作っているのですが、ついうっかりアマゾンの無料ビデオをみていて、目に止まったエベレスト3D。
3Dってのは、映画館での話しで、ビデオではしっかり2Dでしたけど、見させていただきました。
公式サイト:http://everestmovie.jp/

 

基本、山関連のテレビとか一切興味ないというか、ほとんど見たことがないのですが、ついうっかりみてしまったわけです。
というのも、これ、1996年の遭難を再現したものでした。(だからみてみたのですが、実は一度映画化されたのでリメイク版ですね)
90年代というのは、ヒマラヤ登山の変革ともいえる時代で、コマーシャル、いわゆるガイド登山の台頭してきた時期でもありました。
その筆頭ともいえる登山隊の大量遭難で大きく報道もされましたっけ。
ちょうどこのとき私も、ミギもヒダリも分からないような若造だったんですが、この山の、裏手(チベット側)で踏ん張っていました(汗
追記】ちなみに、ネパール側では、この映画の通りで、反対のチベット側でもインド隊などの遭難が起こりました。・・・

 

エベレスト3Dの映画を見た感想

映画の作りはなかなかよいと思います。
雰囲気などは忠実に再現していますし、とくに上部の風景など一部はCGなのでしょうが、上手に描けているとおもいました。
映画ですので、メリハリとか見せ場や流れなどがあるのはしょうがないですね(もっとタンタンと時間が流れていく感じです)

 

これ、3Dだったら、確かに迫力はあったと思いますが、
ただ、、
バッドエンドなんですよね・・・
視聴者が求めているような「サイコー!感のあるドラマ」にはならないでしょうか。
だからイマイチな感想しか聞かなかったのかな?

 

1996年の5月10日は日暮れから荒れました。
私はその夜、生涯でも最強とも思える嵐を確かに体験しました。
その嵐の風は、映画ではぜんぜん表現できていませんでしたが・・・(たぶん、強風すぎて映像にならないはずです)
5/11、私は、結局頂上に立つことができずに降りてきました。
だから、映画のロブホール(亡くなったNZのガイド)が遅れた顧客を登頂させたことは凄くよく分かります。
そして、それが命取りになったわけです。。
ただ、ガイドとして、エスコート側としては、それはNGでした。
私もたぶん、そんな状況ではNGな選択をしてしまうかもしれません。
だから、身の丈以上の山へは仕事では行かないのです。
しかし、参加する側(お客さん)というのは、完全に目線が頂上に立つことという目的に向いてしまうので、なにかあったときの対処ということが非常に難しいとおもいます。
それは日ごろ私もガイドをやっていて多々感じるところです。

 

山をはじめたばかりのような方は見ておいて損はないです。
日本でも同じ状況はありますし。

 

映画の中にもでてきましたが、
なぜ山に登るのかという質問に、
「そこに山があるから!」
という回答。
なんだかそういわれると当たりまえのように思っていましたが、今はちょっと違うなって思えます。
チベット人やシェルパ族、それに日本人(昔)は本来、山は神様という感覚が発露しています。
山を制覇するという思いは、個人のちっぽけな分離感からのみおこるものだとおもいます。