ここ最近は山ブームも幅が広がって、雪山もブームようです。毎年、八ヶ岳の冬の週末は大賑わい。情報もアイテムも増えてきました。
しかし、人も増えると、問題もいろいろです。最近からなのか以前からなのか、初心者の雪山登山者にありがちな傾向を感じましたので、勝手に書いてみます。
山クエストは楽しいです。はっきりいって、他に理由は要りません。
そのために山に登ります。
ここになんの問題もありません。
私もそう思います。
雪山だって同じです。
雪山の場合は、人によっては
夏山よりもっとエキサイティングで、
夏山よりもっと人が少なくてよくて、
夏山よりもっと美しさを感じます。
だから雪山クエストにハマる人がいるのでしょう。
でもしっかり認識してほしいのは、より過酷な状況の中にいる、ということでしょうか。それが余計に美しさを魅了するのかもしれませんね。とにかく雪山が素晴らしいことには間違いがないです。
しかし、そこに落とし穴があるような気がします。
山を楽しみたい。それはとてもいいことだと思いますが、得てして趣味の延長です。
みんなでワイワイガヤガヤ。
しかし、厳しい自然環境に、趣味とか仕事とか、そんなのは一切関係がありません。
山ではつねに生死と隣り合わせです。SAVEは出来ないのです。
これはデーターなどをとったわけではありませんが、なんとなく感じることがあります。
それはこんなことです。
情報で得た知識を自分のスキル(一部)だと勘違いしている
ゲームと同じで、魔法書(情報)をゲットすれば、それで自分がレベルアップしていると、無意識に思っている人がいる、ということでしょうか。
最近は映画やアニメ・ゲームなどの影響もあるのか、「知る」(知識)ことで、「体得した」(経験)という錯覚があるのかもしれません。
あるいは、他人の体験談などを読んで、いきなり厳しい状況を求める人もありがちです。
それともう一つ。やはり便利な生活スタイルに慣れすぎているというのを感じます。
雪山に限らずですが、
メディアが都会の中にばら撒いている山の情報をみていると、雪山に大きなリスクがあるんだという雰囲気が感じられません。
雪山の初心者が、ヤマケイやピークスなどの山雑誌、あるいはきれいな雪山の情報サイトなどを見たら、雪山に行きたいとは思っても、怖いとは感じないでしょう。
一度だって、吹雪や滑落の写真がドアップで掲載されたためしはありませんからね。
よくて、注意点としてまとめてあるだけで、それは、初心者の雪山対策としては、たいした防波堤にはなっていない気がします。
こう思っている雪山初心者が多いのではないでしょうか?
「厳しい山には行かない。厳しい部分を抜いた雪山を楽しみたい」
これは、意外に最近の方は、しっかりとされているように思います。道具もかなり進化して、登山者のレベルを底上げしていることは間違いありません。なので、道具に助けられている、ということを前提に思っておいたほうがいいでしょう。道具なしには、手軽に楽しめないわけです。
これは、なにもアイゼン歩行だけを指しているわけではありません。雪山の準備・計画段階から、行動中の様々なこと(ルールややり方)を人から盗み取ってでも自分のものにしてください。雪山の講習会などがあれば、率先して参加したほうがいいでしょう。
山を楽しむことはその目的の最たるものですが、単なる娯楽には、気の緩みが発生します。
どんな山でも実践&練習という部分を意識して、実際に雪山のあらゆるパターンを経験(意識)しましょう。
毎年のように事故は起きていますし、周囲にそういうトラブルに遭った事がある人がいたら、状況を詳しく聞いたりして自分の体験に組み込んでイメージすることも大事です。バーチャル体験もこのようなことには役に立ちます。できれば、複数名でリスクや対処についてのディスカッションを行うと、効果的です。
ひとつはそれも経験だと思いますが、基本的には相応の山をしっかりと歩きましょう。
無風快晴の赤岳が登れたからといって、次は横岳に登れる、とは誰も言っていません。
赤岳ですら、我々ガイドでも登らない日は、何日もあります。
悪い状況・悪い天候こそ、学べるチャンスですから、そのときに失敗がある程度許される相応の山であればいいわけです。
これが根本ではないでしょうか。自然の中で生きている(しか生きられない)という自覚こそ、安全の原点だと思います。
雪山勇者のレベルをさらに上げるには、最後にはここしかないかもしれませんね♪
あわせて読みたいWEB記事