気象情報の精度が向上した高解像度降雨ナウキャスト

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前回、天気予報と気象情報|山で使える気象情報の見方という記事を紹介しましたが、気象庁より最近、高解像度降雨ナウキャストというより鮮明な気象レーダーの情報提供が始まりました。土砂災害などめぐるましい気象変化に対応するために、指示を待つという受身の状況からの脱却が、今後生き残る唯一の手段となることは必死ですが、登山においてもこのナウキャストがかなり活用できそうですので、紹介したいと思います。



見やすくなった気象庁のサイト|高解像度降雨ナウキャスト

先の記事では、気象協会のサイトを例にしていますが、その理由として、気象庁は、やはりどこかお堅いサイトになっていて、とくにスマートフォンなどでは、改行すらされていないリンク文字にタップすら厳しいという、とても親切とは言いがたいものがあったからです。
しかし、最近はスマホ用のレイアウトにされ、モバイルからでもけっこう見やすくなってきました。
文字が小さく、クリックがしにくい部分がありますが、以前より格段に操作性が向上しています。
そして、今回提供が始まった高解像度降雨ナウキャスト。
今までの気象レーダーとどう変わったのかということをまとめてみます。

どう変わったのか?高解像度降雨ナウキャスト

下の画像は従来のナウキャスト高解像度ナウキャストにおいて、同時間帯での解析の違いです。解像度が16倍に上がっただけではなく、降雨の精度が大幅に向上しています。
黒丸の部分がとくに、降水ナウキャストと比べ、高解像度降水ナウキャストでは実況に近い強雨域を表現できている、らしいです。

 

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①観測データの範囲が250m(升目)の短時間予報

これは、いってみれば、二万五千分の一の地形図の1c㎡の精度ということでイメージしてもらうと、かなりモザイクが細かくなったといえます。
この解像度において30分先の降雨分布を予測します。
高解像度降雨ナウキャストでは60分後までの予測をしますが、30分から60分までは30分までと同じアルゴリズムでの予測なのだそうです。
※気象協会などのサイトでは、雨雲の予測が6時間先まで見れます。

 

②従来のナウキャストよりも現地の降雨状況に近い予測

これは、解析方法がかわったようです。以下、気象庁HPから抜粋します
気象庁のレーダーの観測結果を雨量計で補正した値を予測の初期値としているのに対し、高解像度降水ナウキャストでは、気象庁のレーダーのほかXRAINを利用し、さらに雨量計や地上高層観測の結果等を用いて地上降水に近くなるように解析を行って予測の初期値を作成しています。

 

たしかに、山を歩いていて、雨雲はたしかにレーダーに映っているのに、実際には降っていなかったりすることがありますので、そのへんが改善されることになったのかもしれません。

 

③2Dから3D予測へ

これも予測の精度にあたるものですが、従来は平面(二次元)で予測していたものを、三次元で降雨を予測するというもの。といわれても、よくわからないのですが、雨粒の発生や落下を計算する対流予測モデルを用いた、ということです。
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④データ量の増加

これはいたしかたありません。しかし、山の中ではLTEはおろか、3Gの通信も電波がバリ3(5)で入らないことも多々ありますから、悪天候時には、携帯電波がしっかり入る時点の確認が望ましいですね。

高解像度ナウキャストを使ってみる

では簡単な使い方ですが、気象庁のページからリンクをたどっていきます。
ここで、使い方が説明されていますから、まぁブログに記載することもないのでしょうが、一応^^;

 

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スマホの画面も同じようにでてきます
ナウキャストの画面がでたら、見たいエリアを拡大していきます。これは画面左に+-で拡大縮小ができますが、マウスのスクロールやスマホ画面の拡大で簡単にできるようになっています。
ある程度拡大していくと、地図の下に黒○のボタン(絵)が出ています
これをクリックすると、以後の雨雲の動き(黄色い枠)や、竜巻と雷の発生状況(赤い斜線///や、アメダスの数値(10分雨量)が地図上に表示されます。
雨雲の動きは、降雨が黄色~赤色の激しい部分だけを予測しています
雷の発生状況は活動度2度以上ということで、雷が実際あることを記しています。
竜巻については、「竜巻が今にも発生する(または発生している)可能性の程度」を示し、発生度4以上ということです

 

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そして、虫眼鏡マークのツールをクリックすると、地域の河川道路・鉄道などの情報が地図上に現れてきます(下図)
というか、この河川や町名などがないと、地図を拡大したときにドコなのかまったく判別がつかなくなってきます。
登山においては、この河川や地図の濃淡と県境のラインでだいたいの場所を把握しておく必要がありますね。もうすこしわかりやすい地図だといいのですが、今後に期待したいと思います。

 

 

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これで「実況」の詳細がよりわかりやすくなりました。
さらに、雨雲の動きも出ますのでどちらに流れているのかも見えてきます。
残念なことに、気象協会などが提供している雨雲の6時間予測はないので、他のサイトとあわせての確認なども必要になってくることでしょう。

 

いづれにしても、使い方に慣れると同時に、自主的な気象判断というのが今後求められるのではないでしょうか?